目的地まで3光年

長い距離をひたすらに歩く旅人のように

作曲いろいろ日記 ~これまでの作曲編7(完結編)~

 こんばんは。瀬見ころんです。今度こそ最終回です。振り返ってみるといろいろありました。まあ一年にも満たない出来事なわけなんですが、しかし、まとめてみると意外と密な気がしてきます。これがまとめクォリティというやつですかね。それでは2月初旬から一昨日くらいまでの話を書いていきます。

 

 前回の迷惑をかけてしまった感のある敗北からしばらくすることもなく、僕の言葉で言うところのデコピン効果(人差し指の最高速を出すにはただ指を動かすのではなく、親指で押さえつけてデコピンをしたほうがよい、という経験則から、抑圧したほうが力が湧いてくるということの表現)と悔しさからモチベがMAXになって、早速曲作りを始めました。BGMづくりの時に気になったいくつかの本をまとめて買い一気に読みふけりながら、

DTMerのためのド派手なバンドアレンジがガンガン身に付く本/石田ごうき/★★★★

DTMerのためのド派手なバンドアレンジがガンガン身に付く本

DTMerのためのド派手なバンドアレンジがガンガン身に付く本

 

を主軸に添えてこれの流れで作ることにしました。なぜこの本を選んだのかというと、まあ、何でしょう、僕はこういう長ったらしいタイトルはすきじゃないのですが、コンセプトが分かりやすかったのと、ちゃんと一つ完結させるタイプの本だったため取っ掛かりが良かったからですね。この本の評価としては、使えそうで、使えなかったけど、やっぱり使えた本、という感じですね。最近のことですからとても記憶が新しいので、流れについて割と詳しく書いておくことにしましょう。

 最初に出会ったのはこの本でした。

 DTMトラック制作術/永野光浩/★★★★★

DTMトラック制作術 〜良い音の秘密はトラック数にあり

DTMトラック制作術 〜良い音の秘密はトラック数にあり

 

 この本のまえがきは非常に秀逸というかちょうどその時に迷っていた悩みみたいなものにクリーンヒットしました。というわけで即買い。まえがきを軽く引用すると、

 ひと昔前であれば、立派なミキサー卓や1台数十万~数百万もする高級エフェクターを揃えたぷとのStudioで作るような音を、アマチュアが自宅録音機材だけで出すことなど到底できるものではなかった。しかし、現在のソフトウェア音源中心の制作環境を考えてみれば、プロとアマチュアの制作環境はさほど変わらなくなってきている。にもかかわらず、以前プロとアマチュアの出す音には大きな隔たりがある。

 

 それはなぜだろうか。

 

 いろいろな原因があるだろう。例えばミキシング。あるいはMIDIデータの作りこみ方。(中略)しかしたとえそれらのスキルを上げたとしてもなかなかプロが出すような音にはならない。「何が足りないのだろう?」と、壁にぶち当たっている人は多いと思う。本書はそういった悩みを抱えているミュージシャンのために書かれた本だ。

 という感じでまあ、なんかこう攻略アイテム見つけたぞ~的なワクワク感がありましたね。で、読んだところの実際はどうかというと、まあ多分きっと良くなったんじゃないかな、と言ったところです。とりあえず書いてあることは理にかなってるし、良くなった気がする! うん! という感じ。正直に言うと、この本の内容を全部実践するに至るだけの下地が僕には足りてませんでしたね。一応いろいろと挑戦してみましたが、本書の後半部分に関しては完全にバテてしまいました。そもそも僕はいまだにギターを入れると違和感しか出ないギター貧者なので、ギターが生音じゃないことをバレにくくする技術、というのもなかなか結局使えずじまいでしたし、装飾もうまくいはいきませんでしたね。ただ、この本の「一言うんちく」というちょっとおっさんくさい(僕は恋う言うおっさんくさいのは割と好きですが)題の付いたコメントの中にあった、曲の中で絶対に聞いてる人を飽きさせるようなことがあってはいけない。常に何かで興味を引き続けよう、的な話はなるほどなあ、と思いましたね。すごくなるほどとなりました。具体例として視聴者が曲を聞く時の耳の流れなんかを書いてくれているのですが、いろいろと目からうろこでしたね。とにかくこの本を読んで実践したくなったというのが今回の根源にある動機でありました。

 そして次に見つけたのはこの本でした。

 DTM打ち込みフレーズ制作技法/篠田元一/★★★★★

DTM打ち込みフレーズ制作技法(CD-ROM付き)

DTM打ち込みフレーズ制作技法(CD-ROM付き)

 

この本もためになりましたね。実際のフレーズ内容もそうですが、それ以上に各楽器についての打ち込みのコツ、みたいなのが書いてある部分が、なるほどぉ、となりました。この本に書いてあったパターンは結局全く使わなかったのですが、然れども役だったことには違いありませんでしたね。この本についてもスグ使うタイプのものじゃなくて、こういうのをモチーフにしていろいろと勉強できればいいんだと思います。思っています。まあようするに実を言うと子の本についてもいろいろと使っては見たもののうまくいかなかったんですよね……。あなわびし。

 そんなこんなでいろいろと曲作りのヒントを探している時に前に紹介した「DTMerのためのド派手なバンドアレンジがガンガン身に付く本」に出会ったわけです。この本は、使えそうでつかなかったけどやっぱり使えた本、でした。どういうことかというと、まず最初に見た第一印象は「タイトルが長いし中の文字も大きいしなんかこうカモって行くタイプの本かな。なんとなく内容が少なさそうだし、まあ買わなくていいな」というものでした。まあ、第一印象なんて良かれ悪かれそんなもんです。で、何故買ったかというと、ちょっとお金が余ったからです。ちょっとした事情でお金を先払いで出していたのですが、その先払い金を請求する際に現金で徴収するよりもなにかしら現物で徴収したほうが請求しやすかったためそうすることにしました。そんなこんなでいろいろと買ってもらう際になんか金額的に余裕があったので「こういうタイプの本もためしてみるかなあ」と思って買った、というわけです。んでじゃあ実際どうだったかというと、第二印象的にはとてもよかったです。ダウンロードデータ、サンプルデータの曲の完成度が割と高かった上に、本の構成が一冊で一曲完成させるタイプだったため、この本に付いて行けばいい感じの曲作れるかも! 的なテンションの上がり方をしました。それでトラックを作る時のコツや、打ち込みのしかたなんかも意識して、こんどこそペラペラ安っぽさよさらばでがんばるぞい、となって作製を始めました。

 メロディは本を買う以前から実はだいたい完成していてこんな感じでした。

soundcloud.com

このメロディを作る際にもいろいろと意識したことがあって、まず曲を作ろう、と決めた時に冬の雪がつもった公園の中を寂しく歩く感じ、的なものをイメージしました。そして、参考として、snow halation/山田高弘 とsnow bright/CAP という曲をいろいろと聞いたり研究したりしました。このメロディの最初の部分は明らかにsnow halationを意識しています。あとサビは僕の一番好きなゲーム曲の「狂花水月」を意識してしました。こっちは無意識にやらかしてしまったのですが……。まあ、ギリギリセーフなラインだと僕は思ってます。アウトだったら……。まあ削除しますかねえ。

 メロディはいつもはノリで作っていたのですが、今回は、Aメロはゆったりめ、Bメロは高低差を激しく、サビはモチーフを繰り返して印象的に、という、どこで読んだのかよく覚えていないメロディ指南を意図的に意識して作りました。

 さて、メロディができればその後にやるのは編曲です。編曲がしたくてメロディを作っているようなものなので、そして今回はいろいろな本に触れて成長する気まんまんだったので、とてもはりきってとりかかりました。バンドアレンジ本をとりえずの主軸に添えて、基本グルーヴを決めて、ドラムをいれました。ここで、ドラムについても「すべての音源は選ばれたものでなければならない」というトラック制作本のうんちくにしたがって、全ての音源を選んだ上でEQをかけてこの時点で自分好みにカスタマイズしました。そして、打ち込みのベロシティについても今まではかなり雑でしたが今回はしっかりとノリを意識して打ち込みフレーズ本を参考にしながら入れていきました。今回は適当にゴーストノートもいれました。まあ今までからそれくらいのことは最低限すべきだった気もするのですが、それ以外にも気を使わなければいけない箇所が多すぎて流石に手が回りませんでした。今回はいろいろとそういうことにも手を回せるようにはなったという感じです。

 そんなこんなでフィルイン以外はだいたい完成した所で、ベースラインの作成に移りました。ベースについても打ち込みフレーズ本とトラック制作本、そして以前読んだベースの本を頼りにして作っていきました。これに関してもいつもよりは丁寧に作っていけたと思います。ベロシティやタイミングについても気を配りましたし、使う音も一応いろいろと考えました。音についてもイコライザにかけましたし、サブベースもいれました。そしていろいろと悪戦苦闘しながらなんとか完成させました。

 さて、そこから問題は起きました。ギター、分からない。バンドアレンジ本の通りにやっても絶望的なまでに合わない……合わない、合わない、ギターわからない。ギターギターギターギターギターギターギターァァァァァッ! ギターが全然わからなかったのです。本のとおりに入れても一向に合いません。参考にしていたsnow halationやsnow brightは綺麗にアコギが絡んでいってるのに、自分がやると全然入らない。バンドアレンジ本はギターの解説が雑すぎてなんの参考にもならない。っていうか文字あんなに大きくする暇あったら、もっと情報詰めてくれよ……。と言った感じで迷走。いろいろ考えたり困り果てたりした挙句一旦ギターを飛ばしてピアノから入れることにしました。しかしピアノもまあ、ギターみたいにもう1音いれるだけでわけが分からなくなる程ではないにしろうまく詰っみませんでした。そこで、とりあえずアンチョコと言った感じで、

すぐに使えるキーボード・バッキングまる覚え/織原洋子/★★★★

スタジオミュージシャン厳選 すぐに使えるキーボード・バッキングまる覚え

スタジオミュージシャン厳選 すぐに使えるキーボード・バッキングまる覚え

 

 すぐに使えるギター・バッキングまる覚え/太田正志/★★★★

スタジオミュージシャン厳選 すぐに使えるギター・バッキングまる覚え

スタジオミュージシャン厳選 すぐに使えるギター・バッキングまる覚え

 

の2冊を買って、これを参考にしながら考えることにしました。それでピアノはなんとかかろうじて入れることができましたが、それでもギター入れることができませんでした。しかし、聞いてみると明らかに中音域が足りていない。でもギターをいれてもびっくりするくらい合わない。困り果てた末に、とりあえずパディングをいれてごまかそう、ということになりました。そしてパディングでストリングスを使うことにしました。これは音としてはよく合いましたが、しかし、ストリングスがめっちゃやすっぽい、という問題に直面しました。いろいろと試行錯誤しましたが、どう考えても知識が足りていない気がしてきたので、

ブラス&ストリングス・アレンジ自由自在 完全版/松浦あゆみ/★★★★★

ブラス&ストリングス・アレンジ自由自在 完全版 (CD-ROM付)

ブラス&ストリングス・アレンジ自由自在 完全版 (CD-ROM付)

 

 という本を買ってこれを参考にすることにしました。ただ、実を言うとこの辺ですでに憔悴しきっていて、この本を買っておきながらちゃんと最後まで読みはしませんでした。もう頭のなかが混乱状態の混乱状態の錯乱状態。とりあえず一旦完成させて落ち着こう、という感じになって、そのあと一気に色々と詰めて完成させてしまいました。本当は音圧アップとか音圧って何? て感じでありながら興味があって、

 音圧アップのためのDTMミキシング入門講座/石田ごうき/-

音圧アップのためのDTMミキシング入門講座! (DVD-ROM付)

音圧アップのためのDTMミキシング入門講座! (DVD-ROM付)

 

なる本も買いましたがこの本は読まずじまいだしミックス自体もほとんどしませんでした。バンドアレンジ本の、streo outと最終版の音の雰囲気がぜんぜん違ったので、これがもしかして音圧アップというやつなのか、という好奇心もありましたが、アレンジがうまくいかない曲に一体何ができよう、となってもはや何もできなかったのです。

 夢半ば、志半ばにして完全頓挫、かつて憧れた地平はまさに夢のまた夢……。完全に敗北しました。そして一応完成だけはさせました。それが下になります。

soundcloud.com

……敗北。完全に敗北しました。そんなことを告げながら「ええやん」しか言ってこなかった友人にこの曲を聞かせたところ、「なんかこう、足りない。自分の脳内で予測しているメロディと、君のメロディとが合わない。そういう種類の欲求不満が連発する。素人がパクリを徒に避けすぎてメロディの筋みたいなものが失われる、そういう感じを受ける」と言うコメントを頂きました。かつてないほど、饒舌で、いろいろと語ってくれましたね。もちろん敗北を自覚していたので、それに関してはさほどショックではなかったのですが、ここに来て完全に袋小路に入ってしまったような感覚になりました。

 今まではだいたい、次はこれに気をつけて意識していこう! と考える課題が頭に浮かんで、次の曲はそこを直していこう、と考えてやってきたのですが、ここに来てどうすれば良いのかさっぱりなのです。足りない、それはわかる。でもどうすれば……? どんなに理論書を読んでもそれを実践しても全く足りない。何もかもが足りない。どこなんだ……わからない。どこへ行けば……わからない。何をすれば……わからない。そうして今、こうやってブログを書いています。

 本当にどこまでも悲しくどこまでも絶望。友人を見返すなんてはるか彼方の話。アレンジ1つまともに終わらせることすらできませんでした。本当はVOCALOIDを使ってみようとか考えていたのですが、こんな状態でお出迎えするなんてもってのほか、せめて最低限自分で聞いて、認められるレベルに鳴らなきゃ論外、ということで諦めました。

 諦めに次ぐ諦め、それが今回の全てになります。さて、どうすればいいのか。とりあえず意気消沈して、今までのことをブログにまとめつつ、これからについては思案中です。